【経理と現場のズレ】減価償却が終わったら危険信号?工場の電気設備・耐用年数の正しい見方

「この機械、減価償却が終わったからそろそろ買い替え時かな?」 「いや、まだ動いているし、壊れるまで使おう」


工場の経営者様や経理担当者様の間で、このような会話を耳にすることがあります。 ここで非常に重要かつ、多くの方が混同されているポイントがあります。それは「法定耐用年数(税法上の寿命)」と「物理的耐用年数(安全上の寿命)」は、全く別物であるということです。


法定耐用年数が過ぎたからといって、すぐに壊れるわけではありません。逆に言えば、法定耐用年数内だからといって、絶対に安全である保証もありません。 特に工場という環境は、湿気、粉塵、振動、薬品ガスなど、電気設備にとって過酷な条件が揃っています。一般家庭やオフィスビルとは比べ物にならないスピードで劣化が進むことも珍しくありません。 この記事では、工場の資産を守る「経理の視点」と、現場の安全を守る「保全の視点」の両面から、電気設備の正しい更新タイミングについて解説します。


【目次】

■【問いかけ】「減価償却が終わった=寿命」ではありません

■【基礎知識】主要な電気設備の「法定耐用年数」と「更新推奨時期」

■【プロの視点】年数だけじゃない!プロが見ている「交換サイン」

■【リスク】耐用年数を超えた「老朽化設備」の3大リスク

■【解決策】エイワークスは「使えるもの」と「危ないもの」を見極めます

■【まとめ】転ばぬ先の杖。15年を超えたら一度「健康診断」を




■【基礎知識】主要な電気設備の「法定耐用年数」と「更新推奨時期」

まずは、公的な基準である「法定耐用年数」と、メーカーや業界団体(日本電機工業会など)が推奨する「実質的な交換時期」の違いを整理しましょう。 このズレを把握しておくことが、適切な設備投資計画の第一歩です。



・電気設備(建物附属設備)の法定耐用年数:15年


国税庁が定める「電気設備(照明設備を含む)」の法定耐用年数は、主に「15年」とされています。 これはあくまで税金の計算(減価償却)をするための期間であり、「15年経ったら価値がゼロになる」という意味ではありますが、「15年で壊れる」という意味ではありません。



・実務上の更新推奨時期(JEMA等のガイドライン)


一方で、安全に使い続けられる目安(物理的寿命)は以下の通りです。 必ずしも法定耐用年数と一致しない点に注意が必要です。


分電盤・配電盤:15年〜20年

配線用遮断器(ブレーカー):15年程度

ケーブル・電線:20年〜30年(環境による)

高圧受変電設備(キュービクル):15年〜20年

LED照明器具:8年〜10年(約40,000時間)


ご覧の通り、多くの設備が15年から20年程度で更新時期を迎えます。 「法定耐用年数(15年)が終わった頃」が、ちょうど「故障リスクが高まる時期」と重なるため、減価償却の終了を一つの目安として点検・更新を検討するのは、理にかなった考え方と言えます。




■【プロの視点】年数だけじゃない!プロが見ている「交換サイン」

年数はあくまで目安です。工場の環境によっては、10年足らずで危険な状態になることもあれば、30年経っても問題なく使えることもあります。 私たちプロは、年数だけでなく、現場の設備が発する「SOSサイン」を見逃しません。 もし御社の設備で以下のような症状が見られたら、年数に関わらず即座に点検・交換が必要です。



・1. 「異音」と「異臭」


分電盤やキュービクルに近づいたとき、「ジー」「ビー」という低い唸り音が大きくなっていませんか? これはマグネットスイッチの劣化や、端子の緩みによる振動音の可能性があります。 また、焦げ臭いにおい(オゾン臭のような刺激臭)がする場合は、内部でショート寸前の過熱が起きている危険性が極めて高い状態です。



・2. ケーブルの硬化とひび割れ


配線の被覆(ビニール部分)は、熱や紫外線、油分の影響で徐々に硬くなります(可塑剤の揮発)。 ケーブルを少し曲げたときに表面に細かいひび割れが入るようなら、絶縁性能が著しく低下しています。 特に、機械油がかかる場所や、直射日光が当たる場所のケーブルは寿命が短くなる傾向があります。



・3. ブレーカーや端子の変色


ブレーカーの接続端子部分が、熱を持って茶色っぽく変色していたり、黒ずんでいたりしませんか? これは接触不良による異常発熱の証拠です。 放置すると、ある日突然端子が焼き切れて欠相(電気が一部だけ流れない状態)になり、モーターなどの負荷設備を道連れに故障させてしまいます。




■【リスク】耐用年数を超えた「老朽化設備」の3大リスク

「壊れてから直せばいい」という考え方は、こと工場の電気設備においては通用しません。 なぜなら、電気設備は工場のインフラそのものであり、そのダウンタイム(停止時間)は生産活動の停止に直結するからです。 耐用年数を超えて使用し続けることには、以下の3つの大きなリスクが潜んでいます。



・1. 部品供給終了による「長期停止」


実はこれが最も恐ろしいリスクです。 20年、30年前の古いブレーカーや制御盤が故障した場合、メーカーでの部品製造が既に終了している(ディスコン)ケースが多々あります。 いざ壊れた時に修理しようとしても、「部品がないので直せません。盤ごとの交換になり、納期は2ヶ月後です」と言われてしまったらどうなるでしょうか? その2ヶ月間、工場の一部、あるいは全部が動かせなくなります。 計画的な更新なら数日の停電で済みますが、突発的な故障は数ヶ月の損失を生む可能性があるのです。



・2. トラッキング現象による「火災」


長年蓄積したホコリと湿気が原因で、コンセントや端子台から発火する「トラッキング現象」。 これは古い設備ほど発生確率は跳ね上がります。 また、ケーブルの絶縁被覆が劣化して電線がむき出しになり、ネズミがかじったり、振動で金属部に触れたりしてショートし、火花が散って周囲の油やホコリに引火するケースも後を絶ちません。 「老朽化した電気設備は、火種を抱えているのと同じ」という認識が必要です。



・3. ランニングコストの悪化(電気代の無駄)


古い設備は、燃費が悪い車と同じです。 例えば、20年前の水銀灯や蛍光灯を使い続けるのと、最新のLED照明に変えるのとでは、電気代に約60%〜70%もの差が出ます。 また、古いトランス(変圧器)は、最新の「トップランナー変圧器」に比べてエネルギー変換効率が悪く、ただ通電しているだけで多くの電力を熱として捨てています。 「使えるから」と使い続けることが、実は毎月の固定費を高くし、キャッシュフローを悪化させている原因かもしれません。




■【解決策】エイワークスは「使えるもの」と「危ないもの」を見極めます

「点検を頼んだら、あれもこれも全部交換しろと言われるのではないか?」 そう警戒される担当者様もいらっしゃると思います。 確かに、すべての設備を新品にすれば一番安心ですが、予算には限りがあります。 株式会社エイワークスは、お客様の予算と工場の稼働計画に合わせた、現実的なご提案を重視しています。



・優先順位をつけた「段階的な更新」


私たちは、現地調査で設備の劣化度合いをランク付けします。 「このブレーカーは端子が変色していて危険度Aなので、今すぐ交換しましょう」 「こちらの配線はまだ健全なので、あと3年は様子見で大丈夫です」 このように、危険な箇所から優先順位をつけ、数年かけて計画的にリニューアルしていくプランをご提案することも可能です。 一度に多額の予算をかけられない場合でも、リスクを最小限に抑える方法を一緒に考えます。



・土日・夜間工事で「生産を止めない」


更新工事の最大のネックは「停電」ですが、エイワークスならその心配も無用です。 工場の非稼働時間(夜間や休日)に工事を設定し、翌朝の始業時には通常通り使えるように施工します。 古い設備の撤去から産廃処理まで、法令を遵守して適正に行いますので、安心してお任せください。


▼エイワークスの施工実績と柔軟な対応力 https://www.eiworks.jp/strength




■【まとめ】転ばぬ先の杖。15年を超えたら一度「健康診断」を


工場の電気設備は、人間の体と同じです。 若い頃は無理がきいても、年齢(年数)を重ねればあちこちにガタがきます。そして、ある日突然、大きな病気(故障・事故)として表面化します。


「今の工場を建ててから、一度も電気設備の点検をしていない」 「20年以上前のブレーカーがそのままついている」


もし一つでも心当たりがあるなら、大きなトラブルが起きる前に、一度「設備の健康診断」を受けてみませんか? エイワークスでは、東京都内を中心に、工場の電気設備の無料診断・お見積もりを行っております。 交換が必要かどうかの判断だけでも構いません。まずは現状を知ることから始めましょう。


▼老朽化設備の点検・更新のご相談はこちら https://www.eiworks.jp/contact