「また工場のブレーカーが落ちた。作業が止まって迷惑だ」 「古いから調子が悪いんだろう。とりあえずスイッチを入れ直そう」 「頻繁に落ちるから、容量の大きなブレーカーに交換してしまおう」
もし現場でこのような会話が交わされているとしたら、それは非常に危険なサインです。 電気設備のプロとして断言しますが、ブレーカーは理由もなく落ちることはありません。そこには必ず、電気回路や機械からの「助けてくれ」というSOS(異常信号)が含まれています。 そのSOSの原因を特定せずに、ただスイッチを上げ直したり、安易に容量を大きくして「落ちないように」したりすることは、痛み止めだけを飲んで重病を放置するのと同じです。最悪の場合、機械の故障や工場火災に繋がります。
この記事では、工場の電気を守る「ブレーカー」の正しい役割と種類、そしてトリップ(遮断)した原因の見分け方を解説します。 「ただのスイッチ」ではなく「命綱」としての正しい知識を身につけましょう。
【目次】
■【問いかけ】ブレーカーが落ちるのは「設備の悲鳴」です
■【基礎知識】似ているようで全然違う!ブレーカーの3大分類
■【プロの視点】なぜ落ちる?現場で見る「3つのトリップ原因」
■【リスク】15年以上前のブレーカーは「時限爆弾」
■「交換」ではなく「原因解決」を
■【まとめ】トラブルゼロの工場へ。不安なブレーカーは今すぐ診断を
■【基礎知識】似ているようで全然違う!ブレーカーの3大分類

一口に「ブレーカー」と言っても、工場で使われるものには役割の異なるいくつかの種類があります。 見た目は似ていますが、守る対象が全く違います。まずはこの違いを理解しましょう。
・1. 配線用遮断器(MCCB / NF)
最も一般的なブレーカーです。「No Fuse Breaker(ノーヒューズブレーカー)」とも呼ばれます。 主な役割は、「使いすぎ(過負荷)」と「ショート(短絡)」から電線を守ることです。 許容範囲を超えた電気が流れた時に回路を遮断し、電線が燃えるのを防ぎます。ただし、漏電(電気が外に漏れること)には反応しません。
・2. 漏電遮断器(ELCB / NV)
配線用遮断器の機能に加え、「漏電」を検知して遮断する機能を持ったブレーカーです。 水気のある場所や、人が触れる可能性のある機械には設置が義務付けられています。 本体に「テストボタン(黄色や赤色の小さなボタン)」や「漏電表示ボタン」が付いているのが特徴で、これが飛び出していれば漏電が原因で落ちたと判断できます。 工場においては、感電事故や漏電火災を防ぐための最も重要な安全装置です。
・3. モーターブレーカー(MB)
工場ならではの特殊なブレーカーです。 先ほどの記事でも触れましたが、モーターは始動時に定格の数倍〜10倍もの電流が一瞬流れます。 一般的なブレーカーだと、この一瞬の電流を「異常」と感知して落ちてしまうことがありますが、モーターブレーカーはこの「始動電流」だけは見逃す(耐える)特性を持っています。 もし、モーター機器をつないだ瞬間に普通のブレーカーが落ちるなら、容量不足ではなく「種類の選定ミス」の可能性があります。
■【プロの視点】なぜ落ちる?現場で見る「3つのトリップ原因」

ブレーカーが落ちたとき、ただ漫然と復旧させてはいけません。 「落ち方」や「タイミング」には、トラブルの原因を特定するヒントが隠されています。私たちは現場で以下の3つのパターンを疑います。
・パターン1:過負荷(使いすぎ)
【症状】 機械を動かし始めてから数分〜数十分後に落ちる。あるいは、複数の機械を同時に動かした時に落ちる。 【原因】 定格容量を超えた電流が流れ続け、ブレーカー内部の金属(バイメタル)が徐々に熱を持って遮断する現象です。 「新しい機械を増設した」「夏場などエアコンをフル稼働させた」といった場合に多く見られます。 この場合、単に契約容量を上げるか、回路を分ける工事が必要です。
・パターン2:短絡(ショート)
【症状】 スイッチを入れた瞬間に「バチン!」と大きな音と火花を伴って落ちる。レバーを上げようとしても、すぐにガチャンと落ちて固定できない。 【原因】 電線のプラスとマイナスが直接触れてしまった状態です。ネズミによるケーブルのかじりや、重機によるケーブル切断、端子の緩みなどが原因です。 これは非常に危険な状態で、無理に通電すると爆発や火災になります。絶対に無理やり復旧させてはいけません。
・パターン3:漏電(地絡)
【症状】 漏電遮断器の「漏電表示ボタン」が飛び出している。雨の日や、機械の水洗い後に落ちやすい。 【原因】 電気の通り道(絶縁体)が劣化し、電気が外部(アースや筐体)に漏れています。 古いモーターの絶縁劣化や、配線への浸水が疑われます。 これも放置すると感電して死亡事故に繋がるため、専用の測定器(メガテスター)で漏電箇所を特定し、切り離す必要があります。
■【リスク】15年以上前のブレーカーは「時限爆弾」

ブレーカーにも寿命があることをご存知でしょうか。 一般的に、工場で使用されるブレーカーの更新推奨時期は「製造から約15年」と言われています。 しかし、多くの工場では「壊れていないから(落ちていないから)」という理由で、20年、30年前のブレーカーがそのまま使われています。これは非常に危険な状態です。
・「落ちやすくなる」誤動作のリスク
経年劣化により、内部のバネや機構が弱くなると、定格電流以下でも遮断してしまう誤動作(不要動作)が発生します。 「何もしていないのに落ちた」「朝来たら落ちていた」 こうした原因不明のトリップは、ブレーカー自体の寿命である可能性が高いです。 生産ラインが予期せず停止すれば、その損害額は交換費用を遥かに上回ります。
・一番怖いのは「落ちなくなる」こと
誤動作よりもさらに恐ろしいのが、内部のグリス固着などにより「いざという時に落ちない」状態になることです。 ショートや過負荷が発生しても電流を遮断できず、そのまま電線に過大な電流が流れ続けます。 その結果どうなるか。ブレーカーではなく、電線そのものが発熱して被覆が溶け、盤内で火花を散らして爆発・炎上します。 「落ちないから丈夫で安心」ではありません。落ちないブレーカーは、工場の安全装置がオフになっているのと同じです。 もし御社のブレーカーが15年以上経過しているなら、それはいつ火を吹くかわからない時限爆弾を抱えているようなものです。
■「交換」ではなく「原因解決」を

ブレーカーが落ちた時、あるいは古くなった時、ただ「新品に交換すれば終わり」と考えていませんか? 私たち株式会社エイワークスのアプローチは違います。 私たちは「交換作業」そのものではなく、お客様の工場の「安全と安定稼働」を提供することを目的としています。
・必ず「なぜ落ちたか」を特定してから施工します
他社でよくあるのが、「容量が足りないんですね、大きくしましょう」と言って、原因を調査せずにブレーカーの容量だけを上げてしまうケースです。 もし原因が「漏電」や「モーターの不調」だった場合、容量を上げてもトラブルは解決しません。むしろ、異常電流が流れ続けて事故を拡大させることになります。 エイワークスでは、現地調査で絶縁抵抗測定や負荷電流の計測を行い、「なぜ落ちたのか」「本当に交換が必要なのか」「配線に異常はないか」を徹底的に洗い出します。 その上で、根拠のある最適な対処法をご提案します。
・生産を止めないためのスピード対応
工場において「電気が使えない時間」は致命的です。 私たちは、トラブル発生時の緊急対応はもちろん、計画的な交換工事においても、工場の操業スケジュールに合わせた柔軟な工程を組みます。現場の事情を熟知したスタッフが対応しますので、安心してお任せください。
▼エイワークスの強み・施工へのこだわり https://www.eiworks.jp/strength
■【まとめ】トラブルゼロの工場へ。不安なブレーカーは今すぐ診断を
工場のブレーカーは、機械と従業員の命を守る最後の砦です。 「頻繁に落ちる」のはもちろん異常ですが、「20年以上一度も点検していない」のもまた、大きなリスクを孕んでいます。
「最近、ブレーカーが熱を持っている気がする」 「増設を繰り返して、どのブレーカーが何に繋がっているか分からない」 「古いブレーカーをまとめて更新したい」
このようなお悩みがあれば、大きな事故が起きる前に、ぜひ一度プロの診断を受けてください。 エイワークスは、東京都足立区を拠点に、数多くの工場・倉庫の電気設備を守ってきた実績があります。 「とりあえず見に来てほしい」というご相談でも構いません。御社の安定操業のために、私たちが全力を尽くします。
▼工場の電気設備トラブル・点検のご相談はこちら https://www.eiworks.jp/contact

