【設備投資で失敗?】「合計出力」だけ見ると危険です。プロが教える工場の分電盤容量の決め方

工場のレイアウト変更や新しい機械の導入が決まった際、多くの担当者様が頭を悩ませるのが「電気の容量」です。 「カタログに書いてある消費電力(kW)を全部足して、それに合う分電盤を選べばいい」 もしそう考えているのであれば、少し立ち止まってください。その計算方法では、稼働初日にブレーカーが落ちて生産ラインが止まる可能性があります。


家庭用の電気工事とは異なり、工場における電気設備設計には「見えない負荷」を読み解く力が求められます。 機械が動き出す瞬間の大きな電流や、複数の機械が同時に動く確率など、カタログの数値だけでは見えてこない要素が複雑に絡み合っているからです。 「余裕を持って大きめの容量にしたはずなのに、なぜかブレーカーが落ちる」 こうしたトラブルの多くは、単純な足し算で容量を決めてしまったことに起因します。 この記事では、電気工事のプロである私の視点から、失敗しないための工場の分電盤容量の決め方を解説します。教科書的な計算式だけでなく、現場で私たちが実際に考慮している「補正値」や「安全率」の考え方もお伝えします。


【目次】

■【問いかけ】単純な足し算だと思っていませんか?

■【基礎知識】基本の計算式と「工場ならでは」の違い

■【プロの視点】数値に出てこない「3つの隠れ要素」

■【リスク】容量選定をミスした工場の末路

■【解決策】エイワークスなら「現場判断」で最適解を出せます

■【まとめ】安全な稼働のために、まずはプロの診断を




■【基礎知識】基本の計算式と「工場ならでは」の違い

まず、容量を決めるための基本的な計算方法をおさらいしましょう。 分電盤やブレーカーの容量は「アンペア(A)」で表記されますが、機械のカタログや銘板には「ワット(W)またはキロワット(kW)」で書かれていることがほとんどです。 そのため、WをAに変換する必要があります。



・単相と三相の違いに注意する


ここで最も重要なのが、一般家庭(単相)と工場(三相・動力)では計算式が異なるという点です。ここを混同しているケースが意外と多いので注意してください。


一般家庭などで使われる「単相100V」や「単相200V」の場合、計算はシンプルです。 電流(A) = 電力(W) ÷ 電圧(V) 例えば、100Vで1000W(1kW)の機器なら、10Aとなります。


しかし、工場で大型機械を動かす「三相200V(動力)」の場合、計算式には「ルート3(約1.73)」という係数が入ります。 電流(A) = 電力(W) ÷ (電圧(V) × 1.73) もし三相200Vで10kW(10000W)の機械を使う場合、 10000 ÷ (200 × 1.73) = 約28.9A となります。 これを単相と同じ感覚で「10000 ÷ 200 = 50A」と計算してしまうと、実際の電流値よりも過大に見積もることになり、無駄に高額な設備投資をしてしまうことになります。 逆に、電圧降下などを考慮せずにギリギリで計算すると、容量不足に陥ります。



・力率(りきりつ)を考慮する


さらに厳密な計算には「力率」という効率の指標も関わりますが、概算で容量を見積もる際は、上記の式で算出した値に少し余裕を持たせる考え方でまずは問題ありません。 まずは「工場(動力)の電気計算は、家庭用とは違う」ということを認識しておいてください。




■【プロの視点】数値に出てこない「3つの隠れ要素」

前述の計算式で「必要なアンペア数」は算出できます。しかし、私が現場で分電盤の選定を依頼されたとき、この計算結果だけで決めることはまずありません。 なぜなら、工場には計算式には表れない「3つの隠れ要素」が存在するからです。ここを無視すると、設置後にトラブルが起きます。



・1. 始動電流(突入電流)の衝撃


工場で使うモーターや大型コンプレッサーなどの誘導負荷は、スイッチを入れた瞬間に「定格電流の5倍〜10倍」もの電流が一瞬だけ流れます。これを始動電流(突入電流)と呼びます。 例えば、運転中は30Aで動く機械でも、起動時には一瞬だけ150A〜300A近く流れることがあるのです。 もしブレーカーを定格ギリギリの30Aや40Aで選定していると、朝一番にスイッチを入れた瞬間に「バチン」と落ちてしまいます。 これを防ぐためには、モーターブレーカーのような特性の違うものを選定するか、始動電流に耐えられるだけの容量マージンを見込む必要があります。



・2. 需要率(同時使用率)の読み


工場内に機械が10台あるとして、その10台が「常に」「同時に」「フルパワーで」稼働することはあるでしょうか? おそらく、稀だと思います。ある機械が動いている間、別の機械は停止していたり、待機状態だったりすることが多いはずです。 これを考慮する係数を「需要率」と言います。 全ての機械の最大電流を単純合計して分電盤(主幹ブレーカー)の容量を決めると、とんでもなく巨大で高価な設備が必要になってしまいます。 「最大でどの機械とどの機械が重なるか」 「繁忙期にはどうなるか」 これらをヒアリングし、適切な需要率(例えば60%〜80%など)を掛けて、現実的かつ経済的な容量を導き出すのがプロの仕事です。



・3. 将来のマージン(予備スペース)


ギリギリ適正な容量で分電盤を設置したとしても、それは「現時点での正解」に過ぎません。 工場は生き物です。1年後には新しい機械が増えるかもしれませんし、レイアウトが変わるかもしれません。 その時に分電盤がいっぱいだと、また分電盤ごと交換する工事が必要になり、コストが二重にかかります。 私たちは、今の必要容量に加え、将来の増設を見越した「予備回路(スペース)」と「主幹容量の余裕」を持たせることを強くおすすめしています。 初期費用はわずかに上がりますが、長い目で見れば圧倒的にコストパフォーマンスが良いからです。




■【リスク】容量選定をミスした工場の末路

「とりあえず大きめにしておけば安心だろう」 「予算がないからギリギリでいい」 このように、安易な判断で分電盤の容量を決めてしまった結果、後悔することになった工場の事例は枚挙にいとまがありません。 ここでは、実際に私が相談を受けた失敗事例をご紹介します。



・頻繁な「チョコ停」による生産ロス


これが最も多いトラブルです。 始動電流や温度上昇によるブレーカー感度の変化を考慮していなかったため、夏場の稼働ピーク時や、複数の機械が一斉に動いたタイミングで主幹ブレーカーが落ちてしまいます。 工場にとって、停電はただ「電気が消える」だけのことではありません。 製造中の製品が全て廃棄になったり、機械の再起動・設定に数時間を要したりと、目に見えない莫大な損害が発生します。 「数万円の電気工事費をケチった結果、数百万円の損害が出た」というケースは決して珍しくないのです。



・火災リスクと設備の寿命低下


逆に、ブレーカーの容量だけを大きくして、電線(ケーブル)の太さが追いついていないケースも非常に危険です。 「ブレーカーは落ちないけれど、電線が異常に発熱している」という状態が続くと、被覆が溶けてショートし、最悪の場合は工場火災に繋がります。 また、適正範囲を超えた過負荷運転は、高価な機械の基盤やモーターに負担をかけ、設備の寿命を縮める原因にもなります。



・基本料金のムダ払い


「大は小を兼ねる」と言いますが、電気契約においては大きすぎれば固定費(基本料金)が無駄になります。 デマンド(最大需要電力)の管理をせず、過剰な契約容量のまま何年も放置している工場も多く見かけます。 適切な容量選定と、それに合わせた契約変更を行うだけで、年間のランニングコストを大幅に削減できる可能性があります。




■【解決策】エイワークスなら「現場判断」で最適解を出せるかもしれません

工場の電気工事において重要なのは、机上の計算だけではありません。 「現場のリアルな使われ方」を見て、即座に判断する力です。 私たち株式会社エイワークスは、ただ図面通りに施工するだけの業者ではありません。お客様の工場の安定稼働を第一に考えるパートナーです。



・持ち帰って検討しません。「その場」で判断できる経験値


一般的な電気工事業者の中には、現場調査をした後、「一度持ち帰って上司に確認します」「設計担当に投げます」と、見積もりが出るまでに何日も待たされることがあります。 工場において、時間はコストです。 エイワークスには、現場で即断即決できるベテランスタッフが在籍しています。 「この機械を入れるなら、こちらの幹線を太くした方がいい」 「今のキュービクル(高圧受電設備)の容量なら、ここまで増設しても大丈夫」 このように、現場の状況を見たその場で最適なプランを判断・提案できるため、スピーディーな工事着工が可能です。



・高圧から低圧まで一貫対応できる技術力


分電盤の増設や交換を行う際、大元の受変電設備(キュービクル)の容量確認が必要になるケースが多々あります。 私たちは一般電気工事だけでなく、高圧電気工事にも精通しています。 分電盤単体を見るのではなく、工場全体の電気の流れを俯瞰して、「どこにボトルネックがあるか」「どうすれば最も効率よく電気を供給できるか」をトータルで設計いたします。 有名ブランド店舗や大規模施設の施工で培った「確かな技術」と「対応力」で、御社の工場をサポートします。


▼エイワークスの「選ばれる理由」と施工実績はこちら https://www.eiworks.jp/strength




■【まとめ】安全な稼働のために、まずはプロの診断を


工場の分電盤容量の決め方は、単なる足し算ではありません。 始動電流、需要率、将来の増設計画、そして安全マージン。これらを複合的に計算して初めて、安心して生産に集中できる環境が整います。


「自分で計算してみたけれど、自信がない」 「新しい機械を入れたいけれど、今の盤で足りるかわからない」 「古い工場なので、全体のバランスを見てほしい」


もし一つでも当てはまるなら、自己判断で工事を発注する前に、一度プロの目を入れることを強くおすすめします。 エイワークスでは、東京都内を中心に、工場の電気設備に関するご相談を承っております。 現地調査により、現在の電気使用状況を正確に把握し、無駄のない最適な容量設計をご提案いたします。 まずはお気軽にお問い合わせください。


▼工場電気工事のご相談・お見積もりはこちらから https://www.eiworks.jp/contact